第23回葛城歌壇短歌大会を開催しました

去る11月23日(土・祝)に第23回葛城歌壇短歌大会を開催しました。

(今年の入選作品)

 

【前川佐美雄賞】

たまさかの帰省に孫はそそくさと東京言葉ではや帰りたり  京都府 安立文子 

【優秀賞】  

モニターの脈拍呼吸下がりゆき眠るがごとく妻は逝きたり  奈良県 香川義憲

行方不明のまま八年も経過して遺骨代はりの貝殻拾ふ  宮城県 関根道存

落丁となりし記憶の狭間よりサイタサイタを諳んじる母  山口県 瀬戸内光

湯に入りて長き吐息をひとつして明日への隙間広くしておく  奈良県 井田光美

カタコトの大和言葉のもどかしく旅立つ吾子に教える「どうも」 アメリカ国 キャンプレーン久美子

【佳作】

世界報道写真展には死も飢もやまいもあれどなにも臭わず 東京都 野上 卓

真剣に皿まはしする老いの輪に幼なじみのガキ大将がゐる  大分県 伊藤美佐子

喉頭癌手術に声を失うも手鍬打ち振り土と対話す  奈良県 木原常欽

恋バナは卒業したという祖母が頬染め語る百人一首  アメリカ国 アダムス理恵

池の面に映れる母の影ゆれるわが肩ほどになりたる母の  兵庫県 長江雅子

人生の残りを計る砂時計ひっくり返して百まで生きる  奈良県 中井孝明

ディケアへの迎えの車の来し気配に「うちがいいよ」と夫呟けり  奈良県 北沢裕惠

からす瓜夕焼け色と詩に書きしあなたはいつも少年のまま  山口県 森元英子

みっしりと雲が蓋する奈良盆地どこにも行くなどこへも行かぬ  奈良県 鈴木保彦

習ひ来て蕎麦打つ夫の得意顔長さ太さ不揃ひも美味  奈良県 大杉洋子

イノシシもタヌキもサルも裏庭を勝手にお散歩限界集落  京都府 野間口秀國

老い母の荼毘の後には人工の重き関節残されており  奈良県 松本百々

イヤリングして来たんだねとスープ皿引き寄せながら夫は言いたり  奈良県 湯川よし子

老樹なる黄櫨は秋陽にかつと燃ゆ今日より変へなむルージュの色を  大阪府 岩本慶子

返納を迫る息子より今日も来ぬ高齢者事故の動画LINEに  兵庫県 中村かずえ

奴隷小屋かくす大樹の旧耕地疎林に二頭老馬草食む  ブラジル国 浅海護也

あの部屋の窓の向かうに母がゐた訪なふことなき施設を過ぎぬ  京都府 赤岩邦子

文庫本読みつつ過ぎる男あり薪にあらぬリュック背負いて  兵庫県 佐々木春美

消防が熱中症を触れゆきてしんしん遠き蝉しぐれ沁む  奈良県 阪本 元

佐美雄師のことに愛でたる風蘭の咲きて七月命日のくる  奈良県 窪田多津子

【学生の部 優秀賞】

(小学生の部)

まつりでは元気ににげてた金魚たち今日も一匹死んでしまった  山口県 横道 玄

のぼりぼうの一番上に吹く風のないしょ話はとうめいな声  奈良県 山添 葵

たいま寺ぼくらが通う通学路右にはあぎょう左にうんぎょう  奈良県 橋本菊丸

うちの庭今年も来たなアライグマ天井うらにもう入るなよ  奈良県 岡 ひなの

ここ付けば完成なのにくっ付かない木工工作ぼくの城  奈良県 安川玲央

はみがきをしてたらやっとぬけましたぐらぐらずっとゆれていました  奈良県 杉岡ももこ

(中学生・高校生の部)

田んぼ道つゆの晴れ間の草光りかさをもちつつひとりで帰る  奈良県 橋本蓮音

弟のよちよち言葉がかわいくて家族全員赤ちゃん言葉  奈良県 伊藤大治郎

おはようと伝えたい人いるだけでいつものことが変わって見える  奈良県 榊原真生

ひまわりは泣かないように上を向く私も真似して上を向く  奈良県 藤尾珠妃