當麻寺縁起絵巻

会期:2011年7月16日(土曜日)から8月15日(月曜日)

会場:歴史博物館特別展示室

※下記のとおり講演会および見学会を実施しました。

7月30日(土曜日)「當麻寺縁起絵巻について」

講師:北澤菜月氏(奈良国立博物館研究員)

8月日(土曜日)「當麻寺縁起絵巻」を鑑賞する【展示説明会】

講師:吉岡昌信(本館主幹)

展示替えの実施

絵巻の全体を見ていただくために、展示替えをおこないます。

前期:7月16日(土曜日)から7月31日(日曜日)

後期:8月1日(日曜日)から8月15日(月曜日)

開催にあたって

天平宝字7年(763)6月、中将姫が蓮糸で當麻曼荼羅を織り成したと伝えられ、来年(平成24年・2013)の夏に、ちょうど1250年になるのを機に、それを記念しプレイベント企画展として、重要文化財「當麻寺縁起絵巻・上巻」の特別公開を行います。

重要文化財「當麻寺縁起絵巻」は、當麻寺の草創『上巻』、中将姫にまつわる継子いじめの物語『中巻』と當麻曼荼羅織成の説話を内容とする『下巻』の 三巻で構成され、当時の宮廷絵所預である土佐光茂が絵を描き、詞書は後奈良天皇ら九筆によるもので、享禄4年(1531)公家である三条西実隆の奥書があ り、完成時期が明らかとなっています。また、室町時代における、大和絵の一典型と評されています。

今回出品の「上巻」は全7段で構成され、

第1段:万法蔵院建立、聖徳太子行幸。

第2段:役行者練行の地に、刑部親王が寺を移建する勅諚を伝える。

第3段:天武天皇に里人が栗を奉る。

第4段:天武天皇を舟に隠し奉る。

第5段:近江勢多の合戦。當麻の国見、大友皇子を破る。

第6段:役行者、金堂弥勒仏の体内に孔雀明王像を納める。

第7段:当麻寺開眼供養。役行者が、四天王を百済から勧請する。

となっています。

絵については、三条西実隆の日記「実隆公記」中にも、描き上がった絵巻「上巻」の絵を見て、「近ごろ見事なり、珍重」と記すなど、その絵に感動した ようすが記録されているように、各段における風景描写とともに各登場人物のようすなどが、細部に至るまで丁寧に生き生きと描かれ、土佐派絵師光茂の本領が 遺憾なく発揮されています。

また、7世紀(672年)に起こった「壬申の乱」の事象が、全7段中、第3段から第5段にわたり描かれていますが、「壬申の乱」が中世以前の絵画作 品にクローズアップして取り上げられる事はきわめて希であり、当絵巻が完成した当時の人々が思い描く「壬申の乱」のようすが絵画作品として伝えられた、誠 に貴重な作例と考えられます。

今回の展覧会では、全7段で構成されるこの絵巻の物語を十分に鑑賞していただくため、絵巻をできるだけ広くひろげ、また前期と後期に分けて巻き替え(展示替)を行うことにより、本絵巻『上巻』の全てが鑑賞することができるまたとない機会となります。

また、当代随一の宮廷絵師土佐光茂による大和絵の各場面や、南都の絵師琳賢による見返し絵、さらに後奈良天皇はじめ当時の層々たる能筆家たちによる、詞書の素晴らしさも存分に鑑賞していただけます。

その他にも、絵巻『上巻』に関連する當麻寺関連の優れた文化財を展示し、本絵巻の内容と共に當麻寺の歴史やその文化財に関しても、さらに理解を深めていただける展覧会となるものです。とりわけ、奈良国立博物館に寄託されて久しい本絵巻『上巻』が、 百年ぶりに地元葛城市に1ヶ月間だけ帰ってくる、記念すべき里帰り展です。

主な展示品

重要文化財「當麻寺縁起絵巻上巻」 室町時代(當麻寺所有、奈良国立博物館蔵)

後奈良天皇勅筆當麻寺扁額(當麻寺西南院所蔵)

木造役行者像 一躯  鎌倉時代(奈良県指定文化財:高雄寺[葛城市]所蔵)

當麻寺創建期の軒瓦・せん仏等考古資料(當麻寺・橿原考古学研究所所蔵ほか)

続日本紀(県立奈良図書情報館蔵)

ほか

[過去の展覧会へもどる]