ドウロクさん ■いまくらのどうろくさん
■鎮座地:葛城市太田
■太田の北部に今倉とよばれる集落があり、この集落の東側に小さな祠がある。この地域の人々によって祀られている「道陸さん」である。南隣には四段の立派な宮立形の、太神宮の石灯籠が建つ。「文政元年(1820)戌寅年六月吉日」とある。


 

■7月28日夕方、道陸さんのお祭りが行われました。閑静な今倉の村の入り口にあって、通りすがりのものは気がつかないほど、ひっそりと佇む小さな祠ですが、この日と10月28日の年2回だけは、お供えや提灯で飾られ、存在感をアピールします。中には丸い自然石が、ご神体として祀られており、村を疫病や災害から守ってくれる守り神なのだそうです。

■「私が子ども時分から、もうこうやってお祀りしてましたもんなあ」と、西川清治さん(昭和8年生まれ)は言います。「親から聞いた話では、むかし大水が出た時に、この西の庵寺のところまで流れてきた石を、ここに運んでお祀りしたらしいです」。
昭和20年代の末ごろに、一度祭りをやめたことがあったそうですが、村中に病人やけが人がでたことから、再び祭祀を続けて今に至るということです。「ドウロクさん」の愛称で親しまれている神さまは、一般に道陸神または道祖神のことを言います。村中の安全を祈って、道祖神のお祭りが営まれる例は、葛城市ではここ今倉の里だけのようです。
 


提灯とお供えで飾って
      7時過ぎ、十二振りの準備をする  
        暮れ始めた空に提灯の灯が映えて
   
7時半、村の人たちが集まり出した   女性による祝詞と般若心経があげられる   行事が済むと、お下がりのお神酒をいただきながら歓談を楽しむ

■今倉にはもうひとつ、「黒仏さん」の伝説が伝わっています。くだんの庵寺に納められている仏様で、むかし長い日照りが続いたことがあって、村のものたちがその仏様に白いきれを巻いて外へ担ぎ出し、村中を練り歩いたそうです。すると、何日かして不思議なことに恵みの雨が降ったのだとか。
庵寺は今、無人の寺になっていますが、住民が交代で黒仏さんを給仕しているということです。