新町のトンド
■小正月に古いしめ縄や正月飾りなどを一か所に集めて焼く風習があるが、関西ではこれを「トンド」という。近隣近在では御所市茅原で行われる「茅原のトンド」が有名だが、葛城市でも、新町など古風を守りながら伝承しているトンドが今も見られる。
 


■平成19(2007)年1月14日、葛城市新町で春の行事「トンド」焼きが行われました。朝8時から、藁(わら)その他の材料や用具を運ぶ作業が始まります。総勢50人も集まっているでしょうか。村を挙げての行事の由来等について、区長の上田さんにお話をうかがいました。

■「村に火災が起きぬようと願いを込めるのも、トンドを焚く意味のひとつ。新町では昭和30年代まで、御所市茅原(ちばら)のトンドと同じく、男トンド・女トンドの二体を作っていました。が、農業に機械化が進むにつれ藁が確保できなくなり、現在の一体だけになったんです。
時代と共に日時を替えて行事を行うところも増えていますが、このトンドは必ず1月14日と決めています。平日に当たった場合は人手が減ることもあるけれど、そこは頑なに古式を守っています」。

3本のワラをより併せたものを、さらに3本併せ道具を操ってより、太く頑丈な縄をつくる 縄の長さは約25メートル。これでトンドの胴を巻き上げる 道具は何よりも大事。年月と共に磨耗していくものを、先ごろ新調した
昨年のトンドの焼け杭も、今年のトンドで燃やす。1年間火の神として、各家庭で祀っていたもの すのこ状態にした竹杭に縄をくくり付ける。 すのこの上にワラを敷きつめる
ワラをすのこで巻き上げる。巨大な巻き寿司を巻くような感 円錐型のトンドを立てて形を整える。「よいしょ、せーの。よいしょ、せーの」掛け声が上がる トンドの上部に竹を刺して囲った内に門松、萱、正月飾り、葦などを埋め込んでいく
トンドの胴に巻くしめ縄を編むのは熟練の技 しめ縄をぐるりに巻き、その年の恵方にしめ縄飾りをする 美しい円錐形に整ったトンドの完成。高さ5メートル、胴回り6メートルほどの堂々たるもの
午後5時、トンドに点火される あっというまに燃え上がった! 5分ほどで焼け落ちたトンド。焼け杭を拾うひと、提灯に火をとるひと・・・


■トンドの火(おけら)は各々家に持ち帰り、豆木にうつしてかまどにくべ、小豆がゆを炊くのが古来のならわし。さらに小豆がゆを椿の葉の裏にのせ、神仏にお供えをする…。今はほとんど見られなくなった風景ですが、村の無病息災を祈って行われる儀式の中に、先祖の知恵と心が確かに受け継がれています。

今在家のトンド 今在家のトンド

新町と同じこの日、今在家でもトンドの行事が行われました(通常は1月の第2日曜)。トンドは、芯の部分に當麻山口神社の神域の「ご神木」を用い、廻りに竹を立てて囲ったもの。暮れゆく空に浮かび上がるニ上山を背景に、高く燃え上がるトンドの炎・・・物悲しく幻想的な風景です。