葛城市の農産物のご紹介(第1回: ナス)

更新日:2025年08月28日

ナスの実

ご存知ですか?

葛城市の農業生産額は県内39市町村の中で第6位、中でも野菜の生産額は県内第4位です!

(参考)
1位 五條市 326
2位 天理市 119
3位 宇陀市 111
4位 葛城市 67
5位 田原本町 58

表出典: 令和5年市町村別農業産出額 (単位: 1,000万円)


日々の生活を支え、葛城市にとって欠かせない産業でもある「農業」をもっと身近に――。

そんな思いから、数か月にわたり葛城市の農産品をご紹介します。第1回でご紹介するのは「ナス」です。葛城市で特に生産が盛んな夏秋なす(かしゅうなす)について、市内の生産者さんにお話を伺いました。

なお、本インタビューは令和7年広報かつらぎ9月号にも掲載されています。

奈良県葛城市におけるナスの生産

ナスの花

ナスの花

 

――葛城市でナスの生産が普及したのはいつ頃ですか?

今から50年か60年ほど前、わたしが農協に入った頃です。近所にいた人が、昭和40年ごろに普及所からナスの作り方を持ち込んで、農協出荷用の規格を定めました。

ナスの生産者というと昔は5-6軒ほどでしたが、現在は農協に出荷しているだけでも20軒ほどあります。

 

――葛城市でのナスの生産が盛んなのはいつですか?

多いのは6月から11月までですが、露地ではなくハウス栽培をされている方もいます。暖房代がかかりますが冬でも収穫は可能です。ナスは暑い土地の作物なので気温が高ければたくさん実がなります。あとは給排水ができて車が横付けできる土地を確保できれば作れますよ。

台風が来ると被害を受けることもありますが、奈良県は台風被害が少ないため、そういう意味でも葛城市は気候的にナス栽培に適しています。わたしがナスを作り始めてから被害の経験があるのは平成10年の一度だけでした。

 

――収穫したナスをどこに出荷しているのでしょうか?

奈良県農協を通じて奈良県中央卸売市場に出しています。

同じナスでも、市場によって大きいのを好む市場と小さいものを好む市場がありますが、概して関東では小さいものが好まれます。大きさによってそれぞれ出荷用の規格があり、わたしは100グラムのナスを中心に作っています。

ナスの栽培

葛城市のナス生産の圃場

大和葛城山の背景が美しいナスの圃場

 

――苗植えはいつ頃されますか?

4月末頃に植えています。花粉、風、蜂のはたらきなどを考えると、自然にきれいな実ができるためには大型連休中の苗植えが望ましいですね。あまり早く植えすぎると交配がうまくいかず、形の悪い実ができたりします。ハウス栽培する場合は、ミツバチだけでなくマルハナバチという外来種を入れることもあるようです。

育てるときには、日があたり枝が両側に伸びるようにV字型にしています。

ナスの生産現場

V字型

 

――植えたあとの手入れは必要ですか?

ナスは手入れをしなければ実がなりません。脇芽や枝が出てくると必要に応じて摘み取ったり切ったりしていきます。脇芽はどんどん出てきますし、温かい間は実もたくさんなってきます。

花が落ちることもありますがこれにも理由があります。近く3つ4つと実ができると栄養が分散していい実になりません。受精の調整として、親方を助けるために自分で落ちていくのです。賢いやっちゃねん。

芽かき、枝剪定

ナス栽培には芽かきや剪定が欠かせない

 

――ナスは成長が早いようですが、地面の栄養的には問題ないのでしょうか?

エンドウマメ等も同じですが、ナスは連作を嫌います。一度作ったら最低4-5年は空けておいて、その間は米を作り、別の畑でナスを作ります。悪い病気が流れてこないように、下の畑から上の畑に向いて順番に上がっていくようにしています。

土づくりを工夫すればナスの連作もできますが、自然と時間に任せておけば労力もかかりません。

 

――どうして敷地内でマリーゴールドを育てているのですか?

マリーゴールドを植えるとヒメハナカメムシが寄ってきて、ナスに被害をもたらすミナミキイロアザミウマという外来の虫を食べてくれるからです。

ミナミキイロアザミウマは、成虫になると毎日ナスの花や実のある高さまで上がってきます。消毒もしますが、繰り返すと農薬にも抵抗性が出てきます。また、そもそも農薬自体が高額です。被害が5年ほど続いて葛城市のナス生産者が一気に減った時期がありました。

そこで、奈良県全体でミニトマト、トウモロコシ、唐辛子など色々と試してマリーゴールドにたどり着きました。種さえ撒けばよく、暑さにも強いので管理も簡単です。

マリーゴールドとナス病害虫防除

マリーゴールドとナスの意外な関係

葛城市産のナスを買うには

 

――葛城市産のナスはどこで入手できますか?

葛城市で生産されたナスを購入したいなら、道の駅や直売所へ行く必要があります。葛城市であれば「道の駅かつらぎ」「道の駅ふたかみパーク當麻」がありますね。奈良県農協を通じて出荷されているものは「奈良県産」と書かれています。

 

――おすすめの調理方法はありますか?

炊いても、冷やしても、焼いても、漬物にしても、炒めてもいいので、全部がおすすめですが、ステーキのように焼いて鰹節をかけるのが特に好きです。とあるテレビCMの影響もありますが、日本酒にとてもよく合います。

取材協力(生産者さんについて)

取材協力者さん

取材協力: 阪口さん

 

――ナスを作ろうと思ったきっかけはありますか?

奈良県農協の営農経済センターでナスの係を担当していました。奈良県農協でナスや果樹の講習会で営農指導をしていたこともあり、一度作ってみたいと思いました。

また、仕事を続けながらナスを作ることができたのが一番良かったです。朝5時や4時半ごろから収穫をしてから農協に出勤しており、夕方や休みの日には手入れができました。朝は早い代わりに、夜は早く寝ます。

農作物によっては、収穫時期を逃すと熟しすぎてしまうものや、特定の日を逃すと商品価値が落ちるものもあります。しかしナスの場合は、収穫が1日遅れても実が大きくなるだけで、実が大きくなっても大きな規格で買ってくれます。

また、ナスは値動きすることもありますが、6月から12月ごろまで売れるので、1年間で平均すると価格が安定するのも良いですね。

結び

ナスの写真

ヘタの下の色の薄い部分が1日で成長した部分なのだそう(ナスの成長の早さがうかがえる)

 

  • 気候的条件が良い(台風被害が少なく温暖である)
  • 賢くて生命力が強い
  • おいしく食べられる

インタビューを通じてナスの魅力が見えてきました。そんな葛城市のナスの魅力を少しでもお伝えできたでしょうか?

今後もホームページにて葛城市の農産物をご紹介します。以下のページも併せてご覧ください!