新町のトンド

更新日:2021年03月01日

参加者たちが見守る中で燃え盛るトンドの写真

小正月に古いしめ縄や正月飾りなどを一か所に集めて焼く風習があるが、関西ではこれを「トンド」という。近隣近在では御所市茅原で行われる「茅原のトンド」が有名だが、葛城市でも、新町など古風を守りながら伝承しているトンドが今も見られる。

平成19(2007)年1月14日、葛城市新町で春の行事「トンド」焼きが行われました。朝8時から、藁(わら)その他の材料や用具を運ぶ作業が始まります。総勢50人も集まっているでしょうか。村を挙げての行事の由来等について、区長の上田さんにお話をうかがいました。

「村に火災が起きぬようと願いを込めるのも、トンドを焚く意味のひとつ。新町では昭和30年代まで、御所市茅原(ちばら)のトンドと同じく、男トンド・女トンドの二体を作っていました。が、農業に機械化が進むにつれ藁が確保できなくなり、現在の一体だけになったんです。
時代と共に日時を替えて行事を行うところも増えていますが、このトンドは必ず1月14日と決めています。平日に当たった場合は人手が減ることもあるけれど、そこは頑なに古式を守っています」。

手回し式の専用器具と棒2本を使って丈夫な太縄を撚っていく作業の写真

3本のワラをより併せたものを、さらに3本併せ道具を操ってより、太く頑丈な縄をつくる

撚る作業と、それによって長くなっていく縄を見守る参加者たちの写真

縄の長さは約25メートル。これでトンドの胴を巻き上げる

蓋の裏側に寄贈、トンド組器具一式と書かれている茶箱ほどの大きさの木箱に収められている、太縄を撚る手回し式の器具と付属品の写真

道具は何よりも大事。年月と共に磨耗していくものを、先ごろ新調した

刈り終わった田圃に集められた、トンドを作るための材料である藁や竹の杭などの写真

昨年のトンドの焼け杭も、今年のトンドで燃やす。1年間火の神として、各家庭で祀っていたもの

竹杭を藁縄によってつなぎ合わせてスダレ状に組んでいく作業の写真

すのこ状態にした竹杭に縄をくくり付ける。

スノコ状の竹杭の上に藁を均等に並べていく作業の写真

すのこの上にワラを敷きつめる

何人もの男性がスノコ状の竹杭を巻いていく作業の写真

ワラをすのこで巻き上げる。巨大な巻き寿司を巻くような感じ

何人もの男性が人の背丈以上あるトンドを立てる作業の写真

円錐型のトンドを立てて形を整える。「よいしょ、せーの。よいしょ、せーの」掛け声が上がる

2人の男性が、立てたトンドの上に脚立を使って登り、トンドの上部に竹を刺している作業の写真

トンドの上部に竹を刺して囲った内に門松、萱、正月飾り、葦などを埋め込んでいく

注連縄を作っている人の手元と注連縄を写した写真

トンドの胴に巻くしめ縄を編むのは熟練の技

できあがった注連縄をトンドに巻き付けていく作業の写真

しめ縄をぐるりに巻き、その年の恵方にしめ縄飾りをする

刈り終わった田圃の中にある、全ての準備が終わった状態のトンドの写真

美しい円錐形に整ったトンドの完成。高さ5メートル、胴回り6メートルほどの堂々たるもの

トンドを支えている竹の間に男性が手を入れて火を付けた時の写真

午後5時、トンドに点火される

参加者たちが見守る中で燃え盛るトンドの写真

あっというまに燃え上がった!

まだ火が燃え残っている焼け落ちたトンドに集まる参加者たちの写真

5分ほどで焼け落ちたトンド。焼け杭を拾うひと、提灯に火をとるひと…

トンドの火(おけら)は各々家に持ち帰り、豆木にうつしてかまどにくべ、小豆がゆを炊くのが古来のならわし。さらに小豆がゆを椿の葉の裏にのせ、神仏にお供えをする…。今はほとんど見られなくなった風景ですが、村の無病息災を祈って行われる儀式の中に、先祖の知恵と心が確かに受け継がれています。

今在家で行われたトンドの行事で炎が高く上がっている写真
  • 今在家のトンド
    新町と同じこの日、今在家でもトンドの行事が行われました(通常は1月の第2日曜)。トンドは、芯の部分に當麻山口神社の神域の「ご神木」を用い、廻りに竹を立てて囲ったもの。暮れゆく空に浮かび上がるニ上山を背景に、高く燃え上がるトンドの炎…物悲しく幻想的な風景です。

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