葛城市の農産物のご紹介(第7回: 米)

ご存じですか?
葛城市は古くから稲作を中心とした農業が盛んな地域で、年間の農業産出額は推計19.2億円、中でも米の産出額は推計6.4億円に達しています。
| 米 | 64 |
| 野菜 | 57 |
| 乳用牛 | 42 |
| 花卉 | 15 |
| その他 | 14 |
| 合計 | 192 |
表出典: 令和6年市町村別農業産出額(単位: 1,000万円)
日々の生活を支え、葛城市にとって欠かせない産業でもある「農業」をもっと身近に――。
そんな思いから、数か月にわたり葛城市の農産品をご紹介します。第7回でご紹介するのは「米」です。 葛城市内で生産されている米(主食用水稲)について、市内の生産者さんにお話を伺いました。
なお、本インタビューは広報かつらぎ令和8年10月号にも掲載されています。
葛城市における米の生産
――葛城市はお米作りに向いていますか?
向いていますね。吉野川分水がありますから。奈良県と和歌山県のこれだけ広域で使えるほどのインフラは、なかなか他の都道府県にはないと思います。水が豊富に使えるだけではありません。 吉野川の水はとてもきれいなんです。 プランクトンで濁った池水を中心に育てる米と比べると味が良く、この吉野川分水を使って育てていることをアピールポイントにしています。

吉野川分水に育まれている
――水が豊富なだけでなく、きれいな水を使えるから品質がいいんですね。
水はとてもいいですね。他の自治体では水路に洗濯機の水が流れていたり塗料が流れていたりしていることもあり、実際に赤い水が田に流れ込んだことがありました。その点、葛城市はきちんと下水道が整備されていて汚染水が流れ込む心配はありません。
――水以外に米作りで大切にしていることはありますか?
肥料にもこだわっています。たとえば、パックご飯と道の駅限定で出している玄米には有機肥料を使っており、白米用の米には化成肥料を使っています。糠ごと食べる五分搗き米や玄米は有機肥料の方がおいしいんです。しかし、白米は化成肥料の方がおいしいんです。それがなぜなのかはわかりませんが、白米と玄米では肥料を使い分けています。肥料については、旨味や食味を上げるためにどうすればいいか、5-6年かけて勉強しました。
――具体的にはどのようなことをされたのでしょうか?
食味を測り、数値を比べていました。農協にサンプルを出すと食味が数値として測られて返ってきます。どの肥料を入れると数値がどう変わるか比較したり、肥料の種類を増やすとどう変わるか比較したりしていました。有機肥料と化成肥料で比べたりもしましたね。肥料を多く振ったからといって数値がいいとも限りません。
一発肥料(※)を使う人も多いのですが、当園では使っていません。確かにお盆の前に追肥するのは大変ですしコストもかかります。しかし、食べてみるとわかりますが一発肥料にすると米の味が変わってしまう。中には「他の米は食べられへんねん」と当園の米を買い求めてくださるお客さんもおられるぐらいです。
※一発肥料とは: 一度撒けば肥料を追加する(追肥する)必要のない種類の肥料のこと
――どのように肥料を与えるのでしょうか?
まず、田植えのときに肥料を入れます。8月頃になると稲の色が抜けて深緑から黄緑になりますので、その時期に追肥をします。稲が「おなかすいた」と。追肥の量は稲を見て決めています。かなり色が抜けているなと思ったら多めに、まだ色が濃いなと思ったら少なめに、という具合です。

――水以外に、葛城市がお米作りに向いている要素はありますか?
昼夜の寒暖差や台風被害の少なさも、葛城市がお米作りに向いている要素です。
昼と夜の寒暖差があることは大切です。分水が切れる9月半ば頃には夜だけでも冷えてほしい。20度ほどに下がってくれるといいですね。
他の露地野菜でも同じことが言えますが、自然が相手なので温度調整はできません。米の出来はその年の天気に大きく左右されます。例えば去年は早めに植えた人は二等米でしたが、遅めに植えた人は一等米でした。だからと言って毎年遅く植えたほうがいいとも限りません。そういう意味では博打のようなものですね。
台風被害が少ないことも重要です。雨は降ってほしいのですが、風が強いと稲が倒れたり花が落ちたりして、収量が落ちてしまいます。
米(主食用水稲)の栽培
――生産から出荷までのスケジュールを教えてください。
4月29日に種蒔きをして、1週間ほど芽出しをしたのちに田に並べます。そのときには育苗用の紙を引いて寒冷紗(かんれいしゃ)をかぶせて、これを10日から2週間程度おいておきます。人間が服を一気に脱ぐと風邪をひくように、紙と寒冷紗を一気にめくると成長が止まってしまいます。そこで、まずは紙だけを抜いて、2日ほどおいてから寒冷紗をめくります。
特に神経を使うのがこの苗づくりの時期ですね。この時期に失敗すると生活できなくなりますので、たとえ大雨が降っていてもカッパを着て作業をすることがあります。

6月に吉野川分水が流れてくるので田植えを行います。7月末頃には土用干し(どようぼし)で分水が止まる時期があります。石田農園では水を切らさないことを重視して水を張ったままにしますが、多くの農家さんはこの時期に田を乾かすことで根を張らせたり土に空気を入れたりしています。8月のお盆前には追肥をします。10月に入ると稲刈りをして、乾燥させて臼ひきして、月末頃に出荷します。

二上山がよく見える作業風景
――作っているお米はヒノヒカリですか?
はい。ヒノヒカリが中心です。ヒノヒカリは20代の頃からずっと育てています。キヌヒカリ、キヌムスメ、ひとめぼれなどの品種を育てたり、早生を植えて作業を分散したりしてみましたが、結局は味が良いと思うヒノヒカリを中心に育てることにしました。
コシヒカリとヒノヒカリは品種的に親戚のようなものですが、コシヒカリと違ってヒノヒカリは冷めてもおいしいと感じます。食べてみないとわからない。僕の感想を言うとね、1回食べてみてほしいなと。
また、ヒノヒカリは奈良県の奨励品種なので、作っていると「ヒノヒカリだな」とわかってもらえます。奈良県のヒノヒカリは日本穀物検定協会の食味ランキングで「特A」の評価を受けたこともあり、全国的に米が安い年でも値崩れしにくいです。
葛城市産の米を買うには
――石田農園さんのお米はどこで販売されていますか?
まず、市内にある2つの道の駅で販売しています。道の駅ふたかみパーク當麻(當麻の家)と、道の駅かつらぎです。袋を頼んでいる業者さんにデザイナーさんがおられるんです。これ、いいでしょ。

市内2か所の道の駅で販売中
契約栽培もしていますので、契約先の会社にも卸しています。そのお米は奈良や大阪などの一部スーパーマーケットに「石田農園の自信作」というような形で並んでいて、この辺りでは香芝市のスーパーマーケットでも見かけました。年間何袋と契約を交わして出荷しています。また、葛城市ふるさと納税の返礼品としても出品しています。
その他には、パックごはんとしても売っています。ちょうどお茶碗1杯ほど(150グラム)の量があって、1年ほど日持ちします。

電子レンジで調理できる
――他の葛城市の生産者さんはどこに出荷されているのでしょうか?
昔は個々に米屋さんが買い取りに来ていた時期もありましたが、現在は農協が中心です。
――おすすめの食べ方はありますか?
お米はどんな食べ方でもおいしいですよ。うちのお客さんはおいしいからとお米を食べすぎてしまうそうなので、食べすぎに注意してくださいね。
取材協力(生産者さんについて)
取材協力: いしださん
家はもともと繊維屋でしたが、農家をやることになりました。お米以外にトマトや菊も育てていた時期があります。米を育て始めてからはコンバインに乗っている姿が社会科の教科書に載ったこともあります。
――農大にも通っておられたのですか?
はい。高校を卒業してからすぐに通いました。葛城市では当時トルコキキョウという花が有名だったので勉強しようと思っていました。紆余曲折があってバラを育てて卒業しました。
卒業後は他の仕事をしていた時期もありましたが、親がやっていた米農家を継ぐことになりました。農大時代の同級生の中には、今も葛城市で農業を営んでいる人がいますよ。
――米粉もされているそうですね。
米粉は家族の発案ではじめました。グルテンフリーで小麦粉が食べられないこども達にも食べてもらえます。粉の粗さによってラーメン用、天ぷら用、パン用などがあります。天ぷらやピザなどにも使えます。サクサクして食感も違うので人気があり、おいしいと喜んでもらえています。米粉はお歳暮として送ったり、道の駅で販売したりしています。
――お米で言えば、こども食堂でもほしいと思っているところがありそうですね。
まだ葛城市にこども食堂がなかった時期のことですが、香芝市のこども食堂さんにお声がけをして、現在そちらへお米と野菜を提供しています。
――野菜もされているのですか?
ほうれん草を冬場に道の駅に出荷しています。夏場に育てるとバッタやカメムシの被害にあうので、農薬を減らそうと思うと冬場が適していると思います。ほうれん草に関しては、魚の骨や牛糞を混ぜた有機肥料を使っています。ただし、あくまでもメインはお米です。
結び

葛城市では、良質な水を使った米が生産されており、それが市内の道の駅や近隣のスーパーマーケット等で販売されていることがわかりました。
また、単にそのまま食べるためのお米を生産するにとどまらず、米の種籾(たねもみ)も出荷されているというお話をインタビューの中で教えていただきました。奈良県内のヒノヒカリは葛城市産の種籾に支えられていることがうかがえます。
お米以外にも、ホームページにて葛城市の農産物をご紹介しています。以下のページも併せてご覧ください!
この記事に関するお問い合わせ先
産業観光部 農林課
奈良県葛城市柿本166番地
電話番号:0745-44-5110
ファクス番号:0745-69-6456
メールフォームによるお問い合わせ













更新日:2026年09月25日