葛城市の農産物のご紹介(第2回: 菊)

更新日:2025年10月01日

取材(菊)

ご存知ですか?

葛城市の農業生産額は県内39市町村の中で第6位、中でも花卉(かき)の生産額は県内第5位です!( 令和5年市町村別農業産出額 による)


日々の生活を支え、葛城市にとって欠かせない産業でもある「農業」をもっと身近に――。

そんな思いから、数か月にわたり葛城市の農産品をご紹介します。第2回でご紹介するのは葛城市の花でもある「菊」です。 大正時代から葛城市内で生産されている菊の花について、市内の生産者さんにお話を伺いました。

なお、本インタビューは令和7年広報かつらぎ10月号にも掲載されています。

奈良県葛城市における菊の生産

葛城市の小菊

菊の生産風景

 

――気候や土壌などの面で、葛城市は菊の栽培に適しているのですか

葛城市には菊生産に有利な要素が三拍子そろっています。  まず朝日が早く昇って、夕日は山に遮られて早く沈みます。それが、葛城市の特産である二輪菊の段差を作ったり、冴えた花色の菊を作ったりするのに適しています。また、煙が出るような工場が少なく空気が澄んでいますし、葛城山系や吉野川分水の水もきれいです。昔から長く栽培され続けてきているのには理由があります。

現在は小菊が中心ですが、昔は二輪菊や輪菊もかなり作付けしていました。他にもダリアからカスミソウまで、ありとあらゆる草花をやってきましたよ。
 

菊の栽培と出荷

キクの圃場の写真

圃場に水を入れるのは少雨の年に限るそうだ

 

――いつ出荷されるかは決まっていますか?
お彼岸や正月にも需要はありますが、最も需要があるのはお盆です。いつ咲くか計画を立てて4月から5月ごろに植えます。植えたあとはピンチ(摘心)をして、まっすぐ育つようにネット上げをします。芽かきをしたり、まぶいたりすることはありません。
 

小菊のネットの写真

ネットで小菊がまっすぐ育つ

7月に咲く品種を、思った通りのタイミングで出荷できるように、電気を使って調節しています。夜に電照設備をつかうことで日照時間をのばし、昼の時間を長くして開花を遅らせています。電気がLEDになってからは特によく効きますね。

出荷のタイミングをお盆にあわせて8月10日頃に持っていこうと思うと、菊を切る日が一番難しいです。今年のように日照時間が長く高温だと例年と日がずれてしまい、価格もかなり変わります。一種の博打のようなものです。

 

――菊を切る判断はどういうところでされますか?
2分咲きや3分咲きのあたり、まだ硬い状態のときですね。5分咲きだともう咲きすぎています。切ってから1-2日後には出荷して、その後数日で売り場に並びます。そのころには5分咲きほどになっており、買ってもらいやすい状態になっています。

 

――菊はどういうところで使われますか?
仏壇やお墓参りで使われていますよ。また、昔からお寺さんが修行で花を使っています。かつては生け花やアレンジでも盛んに使われていました。近年は墓じまいをする人や、生花ではなく造花を使う人が増えたりして、需要が減ってきた面もあるようです。

菊を切る

菊を切る様子

また、菊の規格も変わってきています。祭壇が減ってセレモニーホールが増えたことで短いものが好まれ、80cmだった規格が75cmや70cmに変わってきています。

お寺さんには80cm90cmような長いものが必要ですが、業界的には様変わりしていますね。

 

――主な出荷先はどこですか?
姫路生花卸売市場(取扱高全国5位)、鶴見花き卸売市場、なにわ花いちばが中心です。JAに持って行って共同出荷しています。昔は京都にも出荷させてもらっていました。

50本ではなく200本300本と生産できれば、市場も取り扱ってくれるようになり販路も増えてきます。

 

――選別について教えてください
茎の太さや重さから「特級」「1級」「2級」と選別して出荷します。級が違うと売れる金額も大きく違います。

特級と1級や、1級と2級を比べると、違いは一目瞭然です。重さが違うので機械で分けることができますよ。
 

選別の写真

級ごとに選別する

葛城市産の菊を買うには

菊の共同出荷

JAから共同出荷する

 

――葛城市産の菊はどこで入手できますか?
JAに出荷する段ボールには、菊の花をデザインしたロゴマークと「葛城の花」という表示がされており、葛城ブランドがわかるようになっています。

また、「道の駅かつらぎ」や「道の駅ふたかみパーク當麻」では、商品のラベルに「葛城市産」と書かれて売られています。
 

取材協力(生産者さんについて)

取材協力者さん

取材協力:たなかさん

 

――菊づくりをずっと続けられているのですか?
はい。自分はもう花一本です。大学の農学部を卒業してからちょうど半世紀、親父の跡を継いでずっとやってきました。現在は息子に経営移譲したので、親父、自分、息子ともう3代続いています。

圃場は合計すると2町(2ヘクタール)ぐらいあります。菊でいえば大規模な面積です。

昔は車一台で軽四の自動車が買えるぐらいの金額で売れていましたし、そんな時分には菊を茣蓙(ござ)に巻いて市場へ持っていっていました。今ではなかなか想像できないかもしれませんね。

 

――黄綬褒章を授与された経緯について教えていただけますか?
定年になるまで奈良県指導農業士会の会長をしていました。県内全体での生産拡大や後任の育成・指導にも携わってきたことが評価されたのだと思います。

黄綬褒章は県内でも毎年1人か2人ぐらいしか授与されません。おそらく葛城市になってからは第一号ではないでしょうか。また、黄綬褒章の他に緑白綬有功章もいただいています。

補足1: 黄綬褒章(おうじゅほうしょう)は「農業、商業、工業等の業務に精励し、他の模範となるような技術や事績を有する方」を対象に授与されるものです。

補足2: 緑白綬有功章(りょくはくじゅゆうこうしょう)は「農事改良の奨励または実行上功績顕著な者, 農業上の有益な発見または研究を行い功績顕著な者等」を対象に公益財団法人大日本農会から授与されるものです。

 

結び

葛城市の小菊

朝早くから作業されている

  • 栽培条件に恵まれている
  • 特産品を象徴する「市の花」である
  • お盆の時期には欠かせないものである

インタビューを通じて菊の魅力が見えてきました。そんな葛城市の菊の魅力を少しでもお伝えできたでしょうか?

菊生産者さんの日々の活動については以下のページでもご紹介しております。

また、今後もホームページにて葛城市の農産物をご紹介します。以下のページも併せてご覧ください!