葛城市の農産物のご紹介(第5回: 青ねぎ)

更新日:2025年12月26日

ねぎメイン写真2

ご存知ですか?

葛城市の農業生産額は県内39市町村の中で第6位、中でも野菜の生産額は県内第4位です!

 

(参考)
1位 五條市 326
2位 天理市 119
3位 宇陀市 111
4位 葛城市 67
5位 田原本町 58


表出典: 令和5年市町村別農業産出額(単位: 1,000万円)

日々の生活を支え、葛城市にとって欠かせない産業でもある「農業」をもっと身近に。

そんな思いから、数か月にわたり葛城市の農産品をご紹介します。第5回でご紹介するのは「青ねぎ」です。葛城市内で生産されている青ねぎについて、市内の生産者さんにお話を伺いました。

 

なお、本インタビューは令和8年広報かつらぎ1月号にも掲載されています。

葛城市における青ねぎの生産

ねぎ圃ば

ねぎ畑の写真

――葛城市でなぜ青ねぎの生産が盛んなのですか?

葛城市には比較的砂地の畑が多く排水の良い場所が多く、こうした条件の中で栽培しやすく、1年中収穫することができる「青ねぎ」が作物として選ばれ、生産が盛んになりました。

 

――どのくらいの期間で収穫できますか?

種を春に撒くのと秋に撒くので収穫までの期間は違います。

春に種を撒くと3カ月ほどで収穫できます。4月に植えたら6月頃に収穫です。一方で、11月だと半年後の5月頃に収穫です。冬場は日照時間も短くなるため大きくなりにくいです。

 

――年中収穫する工夫はありますか?

種を撒く時期を少しずつ調整しています。そうして収穫のタイミングをずらすことで、季節に左右されず、年中収穫をできるように工夫しています。

青ねぎは1年を通して収入があることも良いところだと思います。

スーパーマーケットには1年を通じて必要とする出荷量を事前に共有いただいています。その内容に合わせて、生産から出荷を計画することで、安定的に商品を出荷できるようにしています。

今は市場の仲介人と相対契約しており、農家単位で取引先に応じた出荷量を持っています。スーパーマーケットは市場を通じて出荷量を要望するので、その量を出荷することができれば売れる見込みがあります。

ねぎ収穫

種を撒く時期をずらすことで年中収穫している

――旬はありますか?

冬に収穫するねぎは甘みが増して、より美味しく感じることができるのが特長です。

冬になってくると霜が降りてきますよね。霜が降りて、寒さにさらされると、ねぎは自身を守るために体の中で変化を起こします。気温が下がると、蓄えられたデンプンを糖に変えて、細胞の中にため込みます。これにより糖度を高めるので、甘みが増して美味しくなります。

また、低温期は辛味のもととなる成分の働きが穏やかになり、より甘みが引き立ちます。

冬を越すとこれらのメリットがあります。

 

――栽培で大変なことはありますか?

天候が難しいですね。特に夏は作りにくいです。最近の異常気象で種を撒いても芽が出なかったり、芽が出ても虫に食べられたりするため、安定した生産が難しくなっています。虫よけのために農薬を撒いています。使用するものを毎回を変えるといった工夫をしています。毎回農薬を変えないと虫に抵抗力がついて、農薬に慣れてしまいます。そういったこともあって夏は特に手間がかかります

9月から11月に撒くものは作りやすいですが、冬になると、低温の影響によってねぎの組織が非常に繊細な状態になります。太陽が出て気温が上がらないまま作業をしてしまうと、繊維が裂けてしまいます。傷んでしまったり、品質に影響がでる可能性があるため、収穫のタイミングは昼からになります。冬場は朝7時から前日の昼間に収穫したねぎを洗浄機で洗います。2時間ぐらいでおわるので、その後にねぎの収穫をするといった流れになります。

 

――育て方の工夫などはありますか?

育て方はどこの農家も一緒だと思います。土づくりしてから堆肥を入れてという感じです。やはり土が大事ですね。ねぎは連作できないので、1年に1回か1回半ぐらいのペースで種を撒いています。

収穫作業の風景

収穫作業をしている様子

お仕事について

――一日のスケジュール感はどんな感じですか?

いつも全員出勤しているわけではありませんが、5人のパートさんに来てもらっています。季節によって出勤時間は違います。夏場は6時に出勤して、冬場は朝も暗いので7時から出勤してもらっています。そこから11時頃には退勤されています。

夏場はパートさんが熱中症にならないよう、冷感のスプレーを振ってもらったり、熱中症対策の飴を食べてもらったりしています。日によって10時頃に退勤してもらうこともあります。

パートさんは70歳から90歳ぐらいですが、皆さんすごい元気ですよ。規則正しく働けて、勤務時間も半日なのでそれが「ちょうどいい」って言ってくれています。休みは好きな日にカレンダーに書いてもらってるので、自由に休んでもらっています。

 

――パートさんは何をしていますか?

男の人はねぎ専用の洗浄機を使って、根本を洗ったり、余分な葉っぱを落としてもらいます。この機械には「ねぎを渡す人」と「コンベアにねぎを並べる人」、「機械からねぎを受け取る人」の3人必要です。

洗浄機の写真

ねぎ専用の洗浄機

この機械から空気がでたり水が出たりします。そのエアーと水圧でネギの根元を綺麗に洗うことができます。

鼓膜が破れるまではいかないけど、音が大きいので耳栓して作業してもらっています。この機械は修理しながらでもう10年ぐらい使っています。

修理しようと思ったら、岡山県のメーカーの方が出張で来てくれますが、出張費もかかるので、周りの人と組んで修理してもらっています。

これ新品だと800万円ぐらいするんですよ。

 

――女の人は何をしていますか?

ねぎを1本ずつ選別してもらいます。洗浄機を使っても、どうしても葉っぱが付いてしまったり、折れて商品にならないものが出てしまいます。そのため、大きさ関係なく余分な葉っぱを取ってもらいます。

ネギの選別写真

1本ずつ丁寧に選別

――余分な葉っぱはどう見分けていますか?

慣れですかね。今は3人~4人でやっています。

選別した後は袋詰めの作業になるので、葉っぱがついたまま袋に詰めてしまうと、葉っぱが傷んでしまうので、綺麗に揃えて一本ずつ確認しています。

そして、出荷先に応じて100gと150gに分ける必要があるため、重さを量ります。ここまですべて手作業ですね

重さを測ったあとは機械を使っての袋詰めになります。

機械から風が送られてきて、袋が膨らみます。そして先ほど量ったねぎを入れていきます。

ネギを袋詰めする機会

袋詰めするための機械

昔は2kgの束で出荷することもありましたが、時代の変化や需要の変化もあり、今は100gや150gの小束での出荷になっています。

袋は過去に色んなものを作ろうかという話がありましたが、シンプルな方が良いと思って、変えずに同じものを使い続けています。

袋詰めしたねぎ

袋詰めされた青ねぎ

――お仕事の魅力は何ですか?

外の仕事も中の仕事も自分でスケジュールを作って仕事をしています。どこまでできるか、どれだけやれるか、といったように自分の中で成長が見れる仕事だと思います。達成感もあって、やりがいのある仕事だと思います!

 

――育てていて良かったなと思うことはありますか?

いつも種を撒くたびに思うことは、種を撒いて1週間ほどすると芽が出てきます。それを見ると赤ちゃんが生まれたみたいで、嬉しくて、かわいいなと思います。

他にも、市場と直売所に出荷していると、お客さんがいる中で段ボールから商品を出して並べる時があります。特にコロナ禍の時はスーパーでも人がいてなくて、逃げるように納品をしてましたが、直売所である男性に「美味しかったです!また出してください!」と言ってもらえた時は嬉しくて涙が出そうでした。直売所はこういった声を直接聞けるのもいいと思います。

葛城市産の青ねぎを買うには

――葛城市産の青ねぎはどこで入手できますか?

市内の道の駅、よってってなどの直売所、ならコープに出荷しているものは商品のラベルに「葛城市産」と表記されています。

スーパーマーケットなどでは袋が決まっているため「奈良県産」と表記されています。

ねぎPOP
ねぎPOP

絵を描くのが好きな娘に手書きのポップを作ってもらい、お店の売り場で順番に置いて活用しています。

大和郡山市にある奈良中央卸市場には直接持って行っています。そこには100gで出しています。

年末の年越しそばや夏に薬味として購入する方が多いので、その時は一気に出荷しています。

――おすすめの食べ方はありますか?

夏は薬味で、冬はお鍋です。一年通してお好み焼きやたこ焼き、味噌汁、年末になると年越しそばに入れて食べてもらうのがおすすめです。ねぎは年中美味しく食べてもらうことができます

取材協力(生産者さんについて)

ねぎメイン写真

いいだ夫妻

やすのぶさん

奈良県立農業大学校(現 奈良県立なら食と農の魅力創造国際大学校)を卒業後、親の代から受け継いで、白キュウリやトマト、金時人参、ほうれん草などを栽培していましたが、今から40年ほど前に青ねぎ栽培をはじめました。

 

よしみさん

結婚を機に、農作業に従事することになりました。農作業のかたわら、趣味でエッセイを書いて、農業の魅力や家族のことが様々な新聞に掲載されました。

エッセイの一部を紹介します。

こちら(PDFファイル:2.3MB)をクリックすると、掲載内容の一部をご覧いただけます。

結び

  • 葛城市には青ねぎを栽培しやすい条件の畑が多い
  • 種を撒くタイミングを調整することで1年中収穫できる

 

インタビューを通じて青ねぎの魅力が見えてきました。そんな葛城市の青ねぎの魅力を少しでもお伝えできたでしょうか?

また、今後もホームページにて葛城市の農産物をご紹介します。

以下のページも併せてご覧ください!

(→特産農産物のページへの内部リンク